2023年に、村上春樹「1Q84」を読む

ブックレビュー

今頃?村上春樹の「1Q84」を読んでます。六巻中の第一巻。

村上春樹さんの新刊「街とその不確かな壁」が出てますが、私は

「1Q84」は、ジョージ・オーウェルの超傑作ディストピア小説「1984」をなぞって語られる小説。

2009年に発表され、言わずと知れた大ベストセラー小説。

ジョージオーウェルは1949年に1984年を舞台にした小説を書き、

村上春樹さんは2009年に1984年を舞台にした「1Q84」を書き、

私は遅れる事2023年にこの小説を読んでいる。


  • 1949年、、、オーウェル「1984」発表。米ソ冷戦幕開けの時代。
  • 1984年、、、米ソ核兵器競争のピーク。ヨーロッパでは反核運動。日本は大江健三郎さんらが運動の中心にいるもののもりあがらず。
  • 1Q84年、、、村上春樹さんが構想したも一つの世界。
  • 2009年、、、「1Q84」発表。昨年のリーマンショック後、世界同時不況。冷戦は終わったが、世界各地で綻び。日本の政権が変わった。
  • 2023年、、、新型コロナ禍明けの世界。ロシアウクライナ戦争。世界経済はますます混沌としていく。

物語は、2人の主人公の話が交互に語られる。

青豆・・・・アラサーの女性、スポーツインストラクターで殺し屋。妻に苛烈な暴力を振るう男を人知れず殺し、

その雇い主、特異な性癖、複雑な過去が語られていく。その中で、いつの間にか自分が知らない世界に居る事に気づき、その世界「1Q84」と名付ける。

天吾・・・・もう一人の主人公。予備校講師で小説家志望。懇意の編集者、小松と新人賞に応募してきた謎の小説「空気さなぎ」のリライトを企てる。作者である不思議な少女ふかえりこと深田絵里子と、後日その保護者戎野に許可を得るため、東京青梅の二俣尾にある自宅を訪ねる。

ジョージオーウェルの「1984」は、第2次世界大戦のファシズムの反省と繰り返されるであろう人類の過ちを近未来小説の形で予言した書として有名。米ソ冷戦時代は、赤狩りや、労働運動弾圧に、インターネット時代には、ITによる監視社会、そして2022年には、再び、古臭い専制政治の独裁者が登場し、その時代に合わせて、「1984」の予言と繰り返し答え合わせが行われてきた。

「1984」は世界が3つの超大国と中東から北アフリカの紛争地帯に分かれる世界。

第2次世界大戦直前、列強各国は独自の経済圏で完結するブロック経済を形成。現在、ロシア抜きで、一部製品、原材料は中国抜きで経済圏を形成する動きに似ている。


複雑なサプライチェーン、相互依存する世界経済が無くなれば、紛争のリスクは高まるし、どだいそう簡単にブロック経済圏なんて構築できないから、人々の不安や不満をコントロールする必要がある。政治家は、いっそのこと国民を洗脳や矯正しちゃえと情報統制、弾圧に手を染めていく。

テレススクリーン様のモノは実際今の中国にあるし、ビッグブラザーはそれこそ世界中にいる。ちゃんと人の言うことを聞くと良い独断専行の人は民主主義国家の中にもいる。そして小説に出てくる「2分間憎悪」という大衆の憎悪を反政府主義者にぶつけさせ、人々に、「憎む」訓練をさせるのは、何やらネットに蔓延る「たたき」を連想させる。寿司屋でイタズラした人間を、必要以上に追い込むテレビとネット民は、ひたすら醜悪だ。


今、デビッドハルバースタムの朝鮮戦争を描いた「ザ・コールデスト・ウィンター」も読んでいるので、1949年、1984年、2023年の世界を行き来しながら「1Q84」を読んでいることになる。


「1Q84」に戻ると、ふかえりの父親は、学生運動家で、後に「タカシマ塾」で農業生産流通のノウハウを得、別の農業コミューン「さきがけ」を作る。さらにその「さきがけ」から枝分かれした分派コミューン「あけぼの」は後に武器を溜め込み、本栖湖近くで警察と銃撃戦、自衛隊まで出動する騒ぎを起こしている。

天吾が、回想する小学生時代に登場する女の子は、キリスト教の分派「証人会」の家族ぐるみの信者で極端な教義を実践し、クラスで孤立している。

それぞれがモデルとしている団体は、既に語り尽くされているので省きますが、元首相が凶弾に倒れ、既に忘れ去られていた宗教集団が蠢き、外国の監獄からの指令で、信じられない規模の犯罪行為が行われていたり、世界各国のビッグブラザーが戦争や自分たちのエゴのままに政治を操る2023年は、ジョージオーウェル、村上春樹の世界に新しい意味を吹き込む奇妙な世界になってしまった。

2023年に読む「1Q84」はとても刺激的だ

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